Claudeの成果物は別の会話でレビューする:ダブルチェックの方法
作った会話とは別のまっさらなClaudeにレビューさせる方法を、アプリでの手順、確認できる基準の書き方、Claude Codeのサブエージェントで解説します。
Claudeに資料やコードを作ってもらい、そのまま「これで問題ない?」と聞くと、ほぼ必ず「問題ありません」と返ってきます。チェック済みに見えますが、実際には作った本人が自分の作品を採点しているだけです。自分で書いたメールの誤字に、送信後まで気づかないのと同じ理由です。
日本の職場には、作成者とは別の人が確認するダブルチェックの文化があります。AIとの仕事でも、この考え方はそのまま使えます。作った会話とは別の、まっさらな状態のClaudeにチェックさせるだけです。私も自分のアプリを作るとき、毎日この方法を使っています。
なぜ「新しい会話」でチェックするのか
AnthropicのClaude Codeのベストプラクティスには、新しいコンテキストで見直すとコードレビューの質が上がる、直前に自分が書いたコードへの偏りがなくなるからだ、という趣旨がはっきり書かれています。同じページでは、作業を完了とみなす前に、別のコンテキストで批判的にレビューする手順を入れることも勧めています。
元の会話には「なぜこの判断で良かったのか」という説明がたくさん残っています。まっさらなレビュー役にはその言い訳が見えません。見えるのは、目の前の成果物だけです。
Claudeアプリでのやり方
- いつもどおり作業を終える。
- 新しいチャットを開く。メモリ機能を使っている場合は、既存のメモリや過去のチャットを参照しないincognitoチャットを使うと確実です。新しいチャットを始めるときに、おばけのアイコンから切り替えられます。
- 成果物とチェック基準だけを貼る。最初の依頼文や途中のやりとりは貼りません。経緯を知らないほど、レビューは正直になります。
- 基準に沿ったレビューだけを頼む。
私が使っているプロンプトです。
あなたは、自分が作っていない成果物をレビューする担当者です。
この成果物に思い入れはありません。
<成果物>
[ここに貼る]
</成果物>
<基準>
[具体的に確認できる基準を3から5個]
</基準>
この基準だけに照らしてレビューしてください。問題があれば、該当箇所をそのまま引用し、
どの基準に反しているか、その理由、具体的な修正案を書いてください。
基準を満たしている項目は、満たしていると一行で書いてください。
目的の達成を妨げる問題だけを挙げ、好みの問題は省いてください。
問題がなければ、問題がないとはっきり書いてください。
最後の段落は見た目以上に大切です。ベストプラクティスでも、問題を探すよう頼まれたレビュー役は、成果物がしっかりしていても何かしら指摘してくる傾向があると注意されています。すべての指摘に対応していると、かえって過剰な修正になります。「問題なし」と答えてよいと明示しておくことで、レビューが役に立つものになります。
チェック基準は「確認できる形」で書く
基準があいまいだと、レビューもあいまいになります。「わかりやすい資料か」「数字は正しいか」と聞いても、返ってくるのは感想です。確認できる形に書き直すと、具体的な指摘が返ってきます。日本語の資料でよく使う例です。
- わかりやすさ:1ページ目だけを読んで、提案の目的と費用が言えるか。
- 数字:本文と表の数字が一致しているか。合計が内訳の和と合っているか。
- 敬語:社外の相手に対して尊敬語と謙譲語が正しく使い分けられているか。二重敬語がないか。
- 表記:全角と半角、送り仮名、用語の呼び方にゆれがないか。
確認できる基準が書けないときは、まだ自分の中で「何ができれば合格か」が決まっていないサインかもしれません。
Claude Codeでは、サブエージェントに任せる
Claude Codeなら、ウィンドウ間でコピーする必要もありません。いちばん簡単なのは組み込みのレビューです。
/code-review
このコマンドは、現在の変更差分を新しいサブエージェントでレビューし、不具合を探して結果を返してくれます。--fix を付けると指摘を反映することもできます。詳しくは公式ドキュメントにあります。
仕様書どおりに作られているかを確認したいときは、自分で指示を書きます。
サブエージェントを使って、今回の変更をSPEC.mdと照らし合わせてレビューしてください。
渡すのは差分と仕様書だけにしてください。すべての要件が実装されているか、
仕様にある例外ケースにテストがあるか、作業範囲外の変更がないかを確認し、
正しさや要件に影響する問題だけを報告してください。
よく使うなら、レビュー役を常設しておくと便利です。プロジェクトの .claude/agents/、またはすべてのプロジェクトで使うなら ~/.claude/agents/ にファイルを置きます。
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name: cold-reviewer
description: 完成した成果物を、作成の経緯を知らない立場から基準に沿ってレビューする。
作業が終わったあとに使う。
tools: Read, Grep, Glob
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あなたは自分が書いていない成果物をレビューします。成果物と基準を受け取り、
基準だけに照らして確認してください。問題ごとにファイルと行、反している基準、
具体的な修正案を示してください。正しさや要件に影響する問題だけを報告し、
問題がなければそう明記してください。ファイルは編集しないでください。
ツールを読み取りだけに絞っておくと、レビュー役が黙って修正してしまうことがなく、すべての指摘を自分の目で確認できます。呼び出すときは @agent-cold-reviewer に続けて確認内容を書きます。
指摘を受けたあと
レビューは、その後に直してこそ意味があります。指摘を元の会話に戻し、納得できるものだけを直してもらいます。そのあと、もう一度だけレビューを通します。たいていは2回で十分です。3回目でも大きな問題が出るなら、最初の依頼内容があいまいだった可能性が高いので、そこから見直したほうが早く終わります。
次にClaudeと作った資料を誰かに見せる前に、ぜひ試してみてください。確認できる基準を3つ書き、新しいチャットに成果物だけを貼る。自分もClaudeも見落としていたものが見つかったとき、この一手間の価値がわかるはずです。