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悩みがあっても87%は支援を受けていない。孤独に向けたサービスを作る前に知っておきたいこと

内閣府の最新調査では、約4割が孤独を感じています。一方で、日常に不安や悩みがある人の87.0%は行政やNPOの支援を受けていません。孤独に関わるサービスを企画する企業や自治体が最初に押さえておきたい数字と設計の考え方を、AI コンパニオンアプリを作った経験から書きます。

日本には孤独・孤立対策の担当大臣がいます。2021年2月からです。2024年4月1日には孤独・孤立対策推進法が施行され、国だけでなく地方自治体にも取り組みが求められるようになりました。

それに合わせて、孤独に関わるサービスの話を聞く機会が増えています。高齢者の見守り、若い人向けの相談窓口、社員のメンタルケア。形はさまざまです。

私自身、AnimaEcho という AI コンパニオンの iPhone アプリを作っています。話しかけると、アニメーションのキャラクターが自分の声でリアルタイムに答えてくれるアプリです。作る過程で、この分野のデータをかなり読みました。

企画を始める前に、知っておいてほしい数字があります。

約4割が孤独を感じている

内閣府の「人々のつながりに関する基礎調査」の令和7年版が、2026年4月に公表されました。全国の16歳以上から無作為に2万人を選び、有効回答は11,873件です。

孤独感が「しばしばある・常にある」は4.5%。「時々ある」が13.7%、「たまにある」が19.5%。合わせると37.7%で、約4割になります。

年代別に見ると、「しばしばある・常にある」が一番高いのは30代の6.1%です。20代から50代は5.5%から5.7%。70代は2.5%です。

孤独は高齢者の問題というイメージとは、少し違います。一番しんどいのは働き盛りの世代です。

87%は支援を受けていない

企画する側にとって一番大事なのは、次の数字だと思います。

調査では、日常生活に不安や悩みを感じている人に、行政機関やNPOなどから支援を受けているかを聞いています。「受けていない」は87.0%でした。前年の85.1%から増えています。

受けていない理由で一番多かったのは「支援が必要ではないため」で、63.1%です。

ここに、この分野のサービスが難しい理由が詰まっています。悩みがあっても、自分を「支援が必要な人」だとは思っていない。孤独を感じていても、「孤独な人向け」と書かれた窓口にはまず行きません。

「孤独対策サービス」と名乗った瞬間に、一番届けたい人が離れていくわけです。

数字が示す、別の入り口

同じ調査に、ヒントになる数字もあります。

誰かと一緒に食事をする頻度と、孤独感の関係です。ほぼ毎日誰かと食べている人で「しばしばある・常にある」は2.7%。誰かと食べることがほとんどない人では17.3%でした。6倍以上です。

同居していない家族や友人と直接会って話すことが「全くない」人も、9.7%います。

孤独は、特別な悩みとして現れるわけではありません。夕食をひとりで食べる。今日あったことを話す相手がいない。そういう日常の中にあります。

だから入り口も、日常の行動に近い方が届きます。「相談する」より、「ごはんを食べる」「今日の話をする」。人が普通にやりたいことの形をしていれば、自分にラベルを貼らずに使えます。

AnimaEcho で決めたこと

AnimaEcho を作るときに、いくつか決めたことがあります。孤独に関わるサービスを考えている方には、参考になると思います。

孤独という言葉を前に出さない。 アプリの説明は、話を聞いてくれて、声で返してくれる相手です。使う理由は、今日の話をしたいから。それで十分です。

声で話す。 文字を打つのは作業です。ひとりの部屋で、夜に一度も声を出さずに終わる日は、思っているより多い。声で話して声で返ってくることに意味があります。

フィードを作らない。 スクロールするものは何もありません。開いて、話して、閉じる。

一日の無料時間を決める。 無料の会話時間は毎日リセットされます。ずっといる場所より、少し寄って帰る場所にしたかったからです。

滞在時間で測らない

一番大事なのは、何で成功を測るかです。

多くのアプリは滞在時間や起動回数で評価されます。孤独に関わるサービスでそれをやると、使う人の孤独に依存する製品ができてしまいます。

10分話して、少し気持ちが軽くなって、スマホを置く。そのあと友達に連絡するかもしれないし、よく眠れるだけかもしれない。それが良い結果です。アプリが一日で唯一の話し相手になっているなら、それは失敗です。

もう一つ、はっきり書いておきます。AI コンパニオンは友達でもカウンセラーでもありません。人とのつながりの代わりにはならないし、そう見せるべきでもありません。企画書に「孤独を解決」と書きたくなったら、一度立ち止まってください。

AnimaEcho は App Store で無料で公開しています。詳しくは animaecho.com をご覧ください。

孤独や見守りに関わるサービスを企画していて、設計の段階で相談したいことがあれば、気軽にご連絡ください。

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