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コーディングエージェントを夜間に動かす前に、決めておくこと

退勤前にエージェントへタスクを渡し、翌朝結果を確認する。やり方としては正しいのですが、朝になっても何も進んでいないことがあります。原因はモデルではなく、多くの場合マシンが眠っていたことです。無人で動かすために必要な四つのことと、社内で承認を通しやすい道具の条件について。

Claude Code や Codex のようなコーディングエージェントを、開発チームで使い始める企業が増えています。使い方が慣れてくると、次に出てくるのが「夜のあいだに動かしておけないか」という話です。

退勤前に時間のかかるタスクを渡して、翌朝に結果を確認する。やり方としては正しいと思います。エージェントの価値は、人が別のことをしている間に仕事が進むところにあるからです。

ただ、実際にやってみると、朝になっても何も進んでいないことがあります。ログを見ると、途中で止まっている。原因はモデルの性能ではありません。多くの場合、Mac がスリープしていただけです。

無人で動かす前に決めておくことを、順番に書きます。

一つ目:マシンが起きていること

macOS は、しばらく操作がないとスリープします。エージェントは実行の途中でも関係なく止まります。

よくある対策は「スリープしない設定にする」ことですが、これは勧めません。作業が終わったあとも、ノートパソコンが一晩中起き続けることになります。バッテリーにも、熱にも、情報管理の面でもよくありません。

必要なのは、作業している間だけ起きていて、終わったら元に戻ることです。タイマーで時間を決める方法もありますが、エージェントの実行時間は読めません。数分で終わることもあれば、一時間かかることもあります。

二つ目:安全に止まること

無人で動かす以上、止め方を先に決めておく必要があります。

特にノートパソコンの場合、起きたまま鞄に入れてしまうことが一番の事故です。バッテリーが一定の残量を下回ったとき、本体が高温になったときには、作業を止めてでも休ませる。その判断を、人ではなく道具に任せられるようにしておきます。

三つ目:外から様子が見えること

翌朝まで結果がわからない状態は、思っている以上に不安です。途中で確認が必要になって止まっていた、という場合もあります。

手元のスマートフォンから、いまどのセッションが動いていて、どれが止まっているかを確認できると、無人運用の安心感がかなり変わります。

四つ目:社内の承認が通ること

ここが日本の企業では一番時間がかかるところだと思います。

エージェントの周辺に置く道具は、コードのすぐ隣で動きます。だからこそ、承認しやすい条件ははっきりしています。

通信しないこと。 外部サーバーに何も送らない。アカウントも不要。分析ツールも入っていない。

中身を読まないこと。 ファイルの内容やプロンプトにアクセスしない。

一つのことしかしないこと。 機能が少ないほど、確認する範囲も小さくなります。

配布経路がはっきりしていること。 Mac App Store 経由で、サンドボックス内で動くものであれば、情報システム部門の確認はかなり楽になります。

私が作った道具

この問題を自分で解決するために作ったのが Nightwatch です。Mac App Store で無料で公開しています。

Claude Code、Codex、Kimi のどれかが作業を始めると自動で Mac を起こしておき、しばらく静かになったら手を離します。判断に使うのは、各ツールのセッション記録が最後に書き込まれた時刻だけで、中身は一切開きません。画面は通常どおり暗くなり、作業だけが続きます。

バッテリー残量と本体の温度には上限を設けていて、どちらかに引っかかるとセッションを終了し、理由を表示します。通信のコードはなく、App Store のプライバシー表示もすべての項目で「データの収集なし」です。

App Store 版はサンドボックス内で動くため、蓋を閉じた状態では Mac を起こしておけません。蓋を閉じたまま動かしたい場合は、サイトから直接ダウンロードできる版があります。こちらは管理者パスワードで一度だけ承認する小さなヘルパーを使うので、会社の Mac で使う場合は情報システム部門の方針を先に確認してください。私の考えでは、会社支給の Mac には App Store 版から始めるのが無難です。

外からの確認には、同じシリーズの Ground Control を使っています。Mac 上の Claude Code のセッションが、iPhone アプリの中に小さなキャラクターとして並びます。Nightwatch は単体でも問題なく使えます。

モデルより、周辺の設計

エージェントの導入で差がつくのは、どのモデルを選ぶかより、その周りの運用をどう設計するかだと思っています。起きていること、安全に止まること、外から見えること、社内で承認できること。この四つが揃うと、夜の時間がそのまま開発の時間になります。

チームでエージェントの運用を始めようとしている場合、最初の打ち合わせでは次の三つを教えてください。使っている、または検討しているエージェント。開発に使っている Mac が会社支給か個人のものか。そして、社内でツールを承認するときに一番時間がかかっている工程です。

全部わからなくても構いません。そこを整理するところから一緒に始められます。

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